ファイルシステムの心臓部:マスターファイルテーブル

セキュリティを高めたい
先生、「マスターファイルテーブル」って、何ですか?

情報セキュリティ専門家
「マスターファイルテーブル」は、パソコンの中にあるファイルの場所や、いつ作られたかなどの情報を管理している、いわば「ファイルの住所録」のようなものです。この「住所録」を見れば、パソコンの中のどこにどんなファイルがあるのかが分かります。

セキュリティを高めたい
なるほど。でも、ファイルを消したら、「住所録」からも消えるんじゃないんですか?

情報セキュリティ専門家
実は、ファイルを消しても、「住所録」からは、そのファイルの場所の記載が消えるだけで、ファイル自体はしばらくの間、パソコンの中に残っているんだ。だから、後でファイルを復元することもできるし、悪いことをした人がどんなファイルを使っていたのかを調べることもできるんだよ。
マスターファイルテーブルとは。
「マスターファイルテーブル」は、ウィンドウズが使っているNTFSという仕組みの中で、パソコン内のファイルに関するあらゆる情報を記録したファイルのことです。このファイルには、ファイルの場所、実際の保存場所、作成日や更新日などの付加情報が書き込まれています。ファイルが削除された場合でも、この表からは消えますが、ファイルの中身自体は残ることがあります。そのため、犯罪捜査などでデータを復元しようとする際に、重要な手がかりとなります。ペトヤというコンピュータウイルスは、本来はファイルの異常をチェックするための「CHKDSK」というコマンドを悪用し、マスターファイルテーブルを暗号化することで、ファイルを使えなくしてしまう機能を持っています。
ファイルシステムの管理者

コンピューターなどの電子機器は、膨大な量の情報を整理して保管するために、ファイルシステムと呼ばれる仕組みを使っています。この仕組みのおかげで、私達は必要な時に必要な情報をスムーズに取り出すことができます。WindowsというOSで広く使われているNTFSも、このようなファイルシステムの一種です。
NTFSにおいて、ファイルの保管場所や種類、そしてファイルの中身が記録されている場所への道案内などを一括して管理している重要な場所が、マスターファイルテーブル(MFT)です。MFTは、ファイルシステム全体を管理する巨大なデータベースのようなもので、Windowsがファイルにアクセスする際には必ず参照されます。
MFTには、ファイルやフォルダの名前、作成日時、更新日時、アクセス権、サイズ、そしてデータが実際に保存されている場所へのポインタなどの重要な情報が記録されています。もしMFTが破損してしまうと、Windowsはファイルシステム上のファイルにアクセスできなくなり、最悪の場合、データが失われる可能性もあります。そのため、MFTはNTFSにおいて非常に重要な役割を担っていると言えます。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| ファイルシステム | コンピューターが情報を整理・保管するための仕組み。WindowsのNTFSもその一種。 |
| マスターファイルテーブル(MFT) | NTFSにおいて、ファイルやフォルダの情報を一括管理するデータベースのような場所。 |
| MFTに記録される情報 | ファイル名、作成日時、更新日時、アクセス権、サイズ、データの保存場所へのポインタなど |
| MFTの重要性 | MFTが破損するとファイルにアクセスできなくなり、データ損失の可能性もある。 |
マスターファイルテーブルの役割

– マスターファイルテーブルの役割
コンピュータの中に保存されているファイルは、一見整然と並んでいるように見えますが、実際にはハードディスクという装置のあちこちに分散して保存されています。このようなファイルの管理をスムーズに行うために、「マスターファイルテーブル(MFT)」という重要な仕組みが存在します。
マスターファイルテーブルは、例えるなら、巨大な図書館の蔵書目録のような役割を果たします。図書館の蔵書目録には、本のタイトル、著者、出版年、保管場所などが記されており、利用者はこの目録を参照することで目的の本をスムーズに見つけることができます。
同様に、マスターファイルテーブルには、ファイル名、作成日時、更新日時、アクセス権限といったファイルに関する様々な情報(メタデータ)が記録されています。さらに、ハードディスク上のどこにファイルの断片が保存されているかという重要な情報も、このマスターファイルテーブルが管理しています。
つまり、マスターファイルテーブルは、ファイルシステムという広大なデータの海を航海するための羅針盤と言えるでしょう。この羅針盤のおかげで、コンピュータは必要なファイルに迅速かつ効率的にアクセスすることができます。
しかし、もしもこの重要な羅針盤であるマスターファイルテーブルが破損してしまうと、コンピュータはファイルの場所を把握することができなくなり、ファイルシステム全体がアクセス不能になるなど、深刻な事態に陥ってしまいます。これは、図書館の蔵書目録が失われてしまい、目的の本を探し出すことができなくなる状況にも似ています。そのため、マスターファイルテーブルは、ファイルシステムを安全かつ正常に動作させる上で、必要不可欠な要素と言えるでしょう。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| マスターファイルテーブル(MFT)の役割 | コンピュータ内のファイル管理をスムーズに行うための重要な仕組み |
| MFTの例え | 巨大な図書館の蔵書目録 |
| MFTに記録される情報(メタデータ) | ファイル名、作成日時、更新日時、アクセス権限、ハードディスク上のファイル断片の保存場所 |
| MFTの重要性 | ファイルシステムという広大なデータの海を航海するための羅針盤 MFTが破損すると、ファイルシステム全体がアクセス不能になるなど、深刻な事態に陥る可能性がある |
フォレンジック調査における重要性

– フォレンジック調査における重要性コンピュータからファイルを削除する際、多くの人は完全に消去されたと認識しています。しかし実際には、データはすぐには消去されず、復元可能な状態で残っていることがあります。例えば、WindowsのファイルシステムであるNTFSでは、ファイルを削除しても、データが保存されている領域の内容はすぐに消去されません。代わりに、ファイルシステム上の「MFT(マスタファイルテーブル)」と呼ばれる管理領域で、該当ファイルのエントリに「削除済み」というマークが付与されるだけです。そして、データ領域は新たなデータが上書きされるまでそのまま残ります。この仕組みにより、誤って削除してしまったファイルを復元することが可能となります。しかし一方で、犯罪捜査の観点からは重要な意味を持ちます。フォレンジック調査では、このNTFSの仕組みを利用します。専門家はMFTを詳細に解析することで、過去に削除されたファイルの痕跡を発見できる可能性があります。具体的には、削除されたファイル名、アクセス日時、ファイルサイズといった情報が復元できる場合があります。このような情報は、事件の真相解明につながる貴重な手がかりとなりえます。例えば、容疑者が犯罪の証拠となるファイルを削除していたとしても、フォレンジック調査によってその痕跡を発見し、容疑者の犯行を裏付ける証拠とすることも可能となるのです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ファイル削除の仕組み | ファイルシステム(例: NTFS)では、ファイルを削除してもデータ自体はすぐには消去されず、上書きされるまで残る。 |
| 削除のマーク | 削除されたファイルは、ファイルシステム上の管理領域(例: NTFSのMFT)で「削除済み」とマークされる。 |
| フォレンジック調査における活用 | 専門家はMFTを解析することで、削除されたファイルの痕跡(ファイル名、アクセス日時、ファイルサイズなど)を発見できる。 |
| 捜査への影響 | 削除されたファイルの復元は、事件の真相解明や容疑者の犯行を裏付ける証拠となる。 |
ランサムウェアの脅威

近年、コンピュータウイルスの中でも特に悪質なものが広まっています。それは「ランサムウェア」と呼ばれるもので、感染するとファイルが使えなくなり、その解除と引き換えにお金を要求されます。
ランサムウェアは、まるでファイルを人質に取って身代金を要求するようなものなのです。
数あるランサムウェアの中でも「Petya」は特に危険な種類です。Petyaは、コンピュータがファイルを管理するために使う重要な仕組み「MFT(マスターファイルテーブル)」を狙います。MFTは、例えるならファイルの保管場所が書かれた図書館の目録のようなものです。Petyaは、WindowsというOSに元から備わっている「CHKDSK」という、本来はディスクのエラーをチェックするためのツールを悪用します。そして、このCHKDSKを使ってMFTを暗号化し、破壊してしまうのです。
目録であるMFTが破壊されると、コンピュータはファイルがどこに保存されているのか分からなくなり、ファイルは使えなくなってしまいます。
しかも、Petyaによって暗号化されたファイルシステムを復旧させるのは非常に困難です。Petyaは、まさにコンピュータシステム全体を人質に取る、凶悪なランサムウェアと言えるでしょう。
| ランサムウェアの種類 | 特徴 | 攻撃対象 | 被害 |
|---|---|---|---|
| Petya | Windowsに備わっているCHKDSKを悪用して攻撃する | MFT(マスターファイルテーブル) | MFTが破壊され、ファイルが使用不能になる。 ファイルシステムの復旧が非常に困難。 |
マスターファイルテーブルの保護

– マスターファイルテーブルの保護コンピュータシステムにおいて、ファイルの保存場所やアクセス権限などの重要な情報を管理しているのがマスターファイルテーブル(MFT)です。これはいわば、ファイルシステムの全体像を把握するための地図ともいえる重要な領域です。もしもMFTが破損してしまうと、ファイルにアクセスできなくなったり、最悪の場合、システム全体が起動しなくなる可能性もあります。そのため、MFTを様々な脅威から保護することは非常に重要です。まず、常に最新のソフトウェアを使用することが大切です。OSやセキュリティソフトは、常に最新版に更新することで、既知の脆弱性を悪用した攻撃を防ぐことができます。また、定期的にシステム全体のバックアップを取得しておくことも重要です。万が一、MFTが破損した場合でも、バックアップがあれば、破損前の状態に復元することができます。バックアップは、外付けハードディスクやクラウドサービスなど、安全な場所に保管するようにしましょう。さらに、日頃から基本的なセキュリティ対策を徹底することも重要です。不審なメールに添付されているファイルを開いたり、信頼できないウェブサイトにアクセスしたりしないようにしましょう。これらの行為は、ランサムウェアを含むマルウェア感染のリスクを高める可能性があります。MFTの保護は、コンピュータシステム全体の安定稼働に欠かせない要素の一つです。常にセキュリティ意識を持ち、適切な対策を講じるように心がけましょう。
| 対策 | 説明 |
|---|---|
| 常に最新のソフトウェアを使用する | OSやセキュリティソフトを最新版に更新することで、既知の脆弱性を悪用した攻撃を防ぐ。 |
| 定期的にシステム全体のバックアップを取得する | 万が一、MFTが破損した場合でも、バックアップがあれば、破損前の状態に復元することができる。 |
| 基本的なセキュリティ対策を徹底する | 不審なメールに添付されているファイルを開いたり、信頼できないウェブサイトにアクセスしたりしない。 |
